花泥棒修行中

奈良に転居してからやりたかったことのひとつに花泥棒がある。もちろん人知れぬ道端の花を、だが。しかし今年の夏は暑すぎて花泥棒に出る気にもなれなかった。ここ数日奈良はぐんと気温が下がり、朝夕は20度くらいになったのではないだろうか。一気に15度近くも下がって体がおかしくなりそうだが、外で活動するには良い時季になってきた。

幼いころ住んでいた祖父母の家には季節ごとの花がたくさん咲いていた。柿の木も、梨の木も、イチジクの木もあったから、泥棒しなくてもいくらでもなんでも摘めた。しかし祖父母亡き後、そこは駐車場になり(もう30年近くも前なのに、悲しすぎて未だにこの目で見ていない)、東京暮らしの私には泥棒できる花も近所にはあまり見当たらなかった。花を生ける技術も心も足りない私には花屋さんで高い花材を買ってまで、というほどの気持ちも無かったし、お稽古場や茶事茶会で見かける野の花はいつもただ素敵と思うばかりで山野草の入手が難しいのを理由に、ずっと憧れに留まっていた。

浄瑠璃寺は芙蓉が満開。参道の向かいの藪にも。。。でも採れなかった。人いるし(笑)

さて、奈良である。行く場所によっては道端にもうこれでもか、とあれこれ咲いている。採ってもいいんだろうな~と思いつつ、都会に慣れた私には人目があるとなかなか車を停めて、降りて、花を摘む、という勇気もない。先日唐招提寺を訪れた際は、お寺もだが近辺の側溝の脇に生えていた蒲の穂に目を奪われている変な人だったかもしれない。

ある日から車に花ばさみ、水筒に水、花瓶、レジャーシートを乗せてとりあえず山の方へ外出するようになった。初めての花泥棒はあろうことか箸墓古墳の奥~~(敷地外)の方の草むらのヒガンバナだった。ドキドキしながら群生全体の印象を変えない程度に数本いただき、車の花瓶に水を入れて持って帰った。お彼岸の日に、日本最大級のお墓の横で摘んだヒガンバナを一生忘れないだろう(笑)。その日、誰もいないのにGoogle Mapに「箸墓古墳 混んでいます」と出たのは花泥棒をする私を後ろから誰かが見ていたのかも。。。💦

これは薬師寺駅近辺の駐車場の萩(採ってませんww)

それからは図に乗って山からあれこれ花を分けていただいている私である。笠木街道近辺の木津川流域はそれでなくても好きな場所だが、野の花がいつもたくさん咲いていて里山の景色が美しい。これから秋の紅葉も楽しみだ。

キキョウだけはファーマーズマーケットで。萩やコスモス、ススキは山から有難く。

この記事を書いた人

Chrononaut M

慶應義塾大学文学部史学科卒、コロンビア大学ティーチャーズカレッジ英語教授法(TESOL) 修士。Q-Leap株式会社 取締役
2024年に東京から奈良に転居。

外資2社に計10年ほど勤務。その間Chicago、NY、Geneveに計4年駐在。結婚と子育てで一旦仕事を離れ、10年間の専業主婦時代を過ごす。3人の子育て中に再度社会に戻るために本格的に英語をやり直し、2011年にコロンビア大学ティーチャーズカレッジでTESOLを取得、

2014年にビジネス英語研修会社 Q-Leap を愛場吉子と共同設立。企業のエクゼクティブ担当として数多くのプライベートレッスンを現在も手がけている。Q-Leapは今年設立10年を迎えた。「明日の日本代表に真の英語力を!」がスローガン。

コロナ禍にほぼ全てのレッスンがリモートで可能になり、残りの人生は好きなところに住んで好きな仕事をすることに。2024年夏に奈良に転居し、自分の記録として、また多くの人に奈良の魅力を知ってもらいたくChrononaut Naraを立ち上げる。

現在は奈良と東京の2拠点で活動中。奈良8割、東京2割。
推しは、藤原不比等と聖武天皇と早良親王。。。書いているときりがない。