2024年秋の特別拝観 1  海住山寺・現光寺

いよいよ10月、奈良中で秋の特別拝観が始まる季節である。ワクワク。
今年は是非足を運びたいと思っているのが南山城の海住山寺と現光寺の文化財特別公開だ。

文化財特別公開 10月26日(土)~12月1日(日)
国宝五重塔開扉 10月26日(土)~11月4日(月)
現光寺御本尊特別拝観 11月2日(土)、3日(日)


ちょっとミーハー的に推しなのが海住山寺(かいじゅうせんじ)の四天王像と現光寺の十一面観音坐像。どちらも見目麗しく、今すぐこのままアニメの主人公になれそうな皆様だ。きっと昔の人にとっても拝む仏様の美しさはとても重要なファクターだったに違いない。

海住山寺は笠置寺(かさぎでら)にいた解脱上人貞慶(1125-1213)が春日大明神のお告げを受けて移り住み、再興したと言われている。海住山寺も笠置寺も「いったいどうしてこんな山の上に~~」と車で行っても思うくらいの険しいところにあるので、貞慶さんはとてもご自分に厳しい方だったのだろうと想像する。トラックもクレーンも無い時代にこの山の中に寺を建てる、とはどれほどの覚悟と情熱を要したのかとただただ感嘆しかない。

海住山寺は聖武天皇が平城京から恭仁京に一時都を移す前からあったと言われている(元の名を藤尾山観音寺(ふじおやまかんのんじ)といったそうだ)ので、その歴史は長い。海なしのこのエリアでなぜ海住山寺なのだろうか、といつも不思議だったが、貞慶さんが「海のような観音菩薩の誓願に安住する」という意味で名付けたそうだ。また、海にはこの山を海中にある補陀落山(ふだらくさん)になぞらえる意味もあったそうだ。今では山門までのアプローチは綺麗にコンクリートで整えられてとても近代的な印象を与えるが、奈良時代創建のこちらには素晴らしいお宝がたくさんある。中でも彩色豊かな四天王像はかなりカッコいい。

四天王系イケメンに弱いわたし



現光寺は海住山寺から3キロほどのところにあり、この二つの寺は昔から繋がりが深く、現在は海住山寺が現光寺を管理しているようだ。こちらの珍しい十一面観音坐像様には東博の南山城展でお目にかかっているのだが、そのセクシーで妖しい美しさに目が釘付けになってしまった。この坐像は補陀落山に座っていらっしゃる観音様のお姿だと言われている。また是非御目にかかりたい、と思っていたが現光寺は事前にお願いしない限り一般の拝観は受けていないし、ましてやこの十一面観音坐像は特別な時にしか出ていらっしゃらない。

秋の特別拝観はその美しいお姿を目にできる貴重な機会のひとつだ。

ウエストがキュキュっとしまった美しい観音様

特別公開の日程は記事内のリンクをご確認ください。

アクセス

南山城の寺に行くには基本車しか方法がない。レンタカー一択(!)と書いたら車を極力使わない友人からコメントが来た。「公共交通機関と徒歩でいける」と。本当にその通り。旅の途上を楽しむ皆さんには南山城ハイキングがお勧め。私も秋深まるころ是非歩いてみたい。

ちなみに海住山寺HPによると、「JR加茂駅よりバス+徒歩でお越しになる場合は、奈良交通の「和束小杉行き」に乗り、三つ目のバス停「岡崎」で降りられ、バス停より徒歩40分になります。」とのことだ。

この記事を書いた人

Chrononaut M

慶應義塾大学文学部史学科卒、コロンビア大学ティーチャーズカレッジ英語教授法(TESOL) 修士。Q-Leap株式会社 取締役
2024年に東京から奈良に転居。

外資2社に計10年ほど勤務。その間Chicago、NY、Geneveに計4年駐在。結婚と子育てで一旦仕事を離れ、10年間の専業主婦時代を過ごす。3人の子育て中に再度社会に戻るために本格的に英語をやり直し、2011年にコロンビア大学ティーチャーズカレッジでTESOLを取得、

2014年にビジネス英語研修会社 Q-Leap を愛場吉子と共同設立。企業のエクゼクティブ担当として数多くのプライベートレッスンを現在も手がけている。Q-Leapは今年設立10年を迎えた。「明日の日本代表に真の英語力を!」がスローガン。

コロナ禍にほぼ全てのレッスンがリモートで可能になり、残りの人生は好きなところに住んで好きな仕事をすることに。2024年夏に奈良に転居し、自分の記録として、また多くの人に奈良の魅力を知ってもらいたくChrononaut Naraを立ち上げる。

現在は奈良と東京の2拠点で活動中。奈良8割、東京2割。
推しは、藤原不比等と聖武天皇と早良親王。。。書いているときりがない。