奈良と言えば鹿、鹿と言えば奈良、というくらい宗教的にもイメージ的にも切っても切れないものになっている。春日大社の神様の一人、タケミカヅチは鹿島神宮から鹿に乗っていらしたという。鹿は神道や仏教との歴史的な関係性も深く、神獣という扱いだろうか。そしてキリスト教では羊がイエス様と切っても切れない関係にある。キリスト教において私たちは皆「神の子羊」とよばれ、イエス様は羊飼いとよばれる。
そんなDeerとSheepの間には言語学的共通点がかなりあって面白い。
- 文法:両方とも不規則複数形で、単数でも複数でも同じ形をとる。例:a deer, one sheep, many deer, many sheep (この形をとるのは他にfishとbisonくらい?)
- 語源:deerもsheepも語源はゲルマン祖語と呼ばれる古い言語である
- 音声:どちらも一音節の単語で、長母音である。
英語では動物の名前とその食肉の名前が同じだったり違ったりするのでややこしい。ちなみに羊肉は子羊ならラム(lamb)、成長した羊ならマトン(mutton)、そして鹿肉はジビエとして好まれていて、ベニソン(venison)と呼ばれている。
多くの観光客(特に外国人観光客)は奈良公園の鹿をお目当てにやってくるようで、野生動物がこんなふうに人間と接点を持ちながらのんびり暮らしているというのは驚きなのかもしれない。しかし地元の皆様に伺うとかなり増えてしまった鹿に必ずしも好意的な意見ばかりではなく、「農作物、花、植木などを食べてしまう困った動物」と思われていることも多いようだ。実際私も「庭に鹿が入らないようにしないと何を植えても食べられちゃいますよ」とアドバイスされた。でもやっぱり鹿さんを見るとなごみます。